研究者向けClaude:Sloan、Simons、NSF、EMBLにクレジット提供
研究者向けClaudeの支援が拡大。AnthropicがAI for ScienceをNSFやFlyWireなど20の財団・研究所・プロジェクトに広げました。
この記事の他の言語版:العربيةDeutschEnglishEspañolFrançaisItalianoPolski简体中文
10月28日、AnthropicはAI for Scienceプログラムを拡大しました。科学的に大きな意義を持つプロジェクトに取り組む研究者に、Claudeの無料クレジットを提供するプログラムです。研究者向けのClaudeは、これからは個々の研究者だけでなく、Alfred P. Sloan Foundation、Simons Foundation、米国国立科学財団(National Science Foundation)、EMBLなど20の財団・研究所・研究グループを通じても届けられます。
何が新しいのか?
AI for Scienceプログラムは2025年5月に始まり、これまでは個々の科学者にAPIクレジットを提供してきました。今回からAnthropicは財団や研究所にクレジットを渡し、各機関が自ら所属研究者に配分する形をとります。Anthropicによると、このプログラムはすでに生物学、医学、物理学、化学、気候科学、数学の分野で数百のプロジェクトを支援してきました。
パートナーは3つのグループに分かれます。
- 助成団体と学術団体(研究者にクレジットを配分):Alfred P. Sloan Foundation、Simons Foundation、Schmidt Sciences、Open Source for Science Fund(Renaissance Philanthropyのプログラム)、US National Science Foundation、そしてAmerican Chemical Societyの一部門であるCAS。
- 研究所(クレジットを自前で利用):Space Telescope Science Institute(ハッブル、ジェームズ・ウェッブ、ローマン各望遠鏡の科学運用)、Wellcome Sanger Institute、Francis Crick Institute、Imperial College London生命科学部、EMBL、Gladstone Institutes。
- 個別の研究プロジェクト(クレジットを直接受け取る)。
Anthropicは金額を公表していないため、これらのクレジットが具体的にどれほどの価値なのかは分かりません。
どのプロジェクトがClaudeを得たのか?
このリストがおそらく一番面白いところです。どのプロジェクトも、科学界全体が使うオープンなデータやツールを生み出しているからです。
- FlyWire(Princeton):成体ショウジョウバエの脳の神経接続を初めて完全にマッピングしたチーム。
- LEAP(Columbia):機械学習と物理学を組み合わせ、気候モデルが雲・海洋・陸地をより正確に再現できるようにするNSFのセンター。
- AstroPath(Johns Hopkins):天文サーベイの較正手法を使い、腫瘍を細胞1つずつ画像化する取り組み。
- gnomAD(Broad Institute):80万人超のDNAから作られたヒト遺伝的多様性のオープンデータベース。希少疾患の診断に使われています。
- Tau Ceti:Leanで自動形式化された数学のコミュニティライブラリ。Leanは、すべての証明をコンピューターが検査する言語です。
- Centre for Population Genomics:オーストラリアのGarvan研究所とMurdoch Children’s研究所の共同イニシアチブ。
興味深いことに、Tau Cetiは以前書いたClaudeによる形式検証と同じ発想です。コンピューターが検査する証明を、今回はコードではなく数学で(しかもRocqではなくLeanで)行うわけです。
Anthropicはなぜ研究室と組むのか?
Anthropicは過去の2つのプロジェクトにも触れています。HHMI Janelia Research CampusとはModel Hardware Standard(MHS)を共同開発しました。AIエージェントが実験装置を安全に操作できるようにする共通仕様です(現時点ではresearch preview)。またAllen Instituteは、自らのオープンデータセットを分析するAIエージェントのチームを構築しており、Anthropicによれば数か月かかっていた手作業の分析が数時間に短縮されるといいます。
Anthropicが今週科学分野で動くのはこれで2度目です。前日には創薬におけるClaudeの成果を発表し、Mithril Medicineを買収しました。
研究者がClaudeを使うには?
財団や研究所経由のクレジットとは別に、Anthropicがここ数か月で始めた科学者向けTeamプランもあります。プログラムのページによると、
- スタンダード席は月額20ドルではなく0ドル、プレミアム席は100ドルではなく15ドル。
- キャンペーン価格は登録から12か月間適用され、その後は現行価格で更新されます。
- 申し込めるのは、認定大学や非営利研究機関の研究グループ責任者(PI)またはそれに相当する立場の人で、自然科学、数学、コンピューターサイエンス、工学などが対象です。企業や産業界の研究開発部門は対象外です。
- チームは1〜25席で、申請の審査には通常5〜7営業日かかります。
(Anthropicは提供数に限りがあるとしているので、まだ利用できるかプログラムのページで確認してください)
注意すべき点は?
1つ目は、数字がないこと。各パートナーが受け取るクレジット量も、財団がそれをどう配分するのかも、Anthropicは明らかにしていません。
2つ目は、段階。Anthropicによると、こうした協力の多くはまだ初期段階にあり、成果が出るまでには時間がかかります。
3つ目は、タイミング。AnthropicはNasdaq上場に向けて目論見書を提出したばかりです。科学界全体が恩恵を受けるプロジェクトは、企業イメージづくりにも役立ちます。
FAQ
Claudeは研究者なら無料で使える?
一部は無料です。パートナーのプロジェクトや機関の研究者は無料クレジットを受け取れます。また科学者向けTeamプランでは、大学や非営利研究機関の研究グループがスタンダード席を12か月間0ドルで使えます。
AI for Scienceプログラムとは?
2025年5月にAnthropicが始めたプログラムで、科学的に大きな意義を持つプロジェクトに取り組む研究者にClaudeの無料クレジットを提供します。2026年10月28日からは、財団、研究所、個別の研究プロジェクトも対象になりました。
プログラムに参加しているヨーロッパの機関は?
発表では、EMBL、Wellcome Sanger Institute、Francis Crick Institute、Imperial College London生命科学部などが挙げられています。